⑫ 今と昔 何が一番違うのか? ~非対称性とカウンターバランス~

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ストラディバリなどがいた時代と現代では、
楽器において何が一番違うでしょうか?
私は、弦の張力だと思います。
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昔は、ガット弦(羊の腸)が使われていたので、
一本一本の弦の張力もさほど大きくなく、楽器に対する圧力や、
応力(ねじる力)も少なかったと思われます。
当然、カウンターバランスもそこまで考える必要が、ないわけです。

昔は、コンサートホールで大勢を相手に演奏する必要もなかったため、
現代ほど大きな音が出る楽器を必要としていなかっただろうと、思われます。
むしろ、音色のほうに重きを置いていたのではないか、と思われます。
また、現存するストラディヴァリのヴァイオリンなどは、
バスバーを修理して、もっと長く、頑丈なものに取り替えられています。
これも、現代のスチール弦の弦張力に負けないようにする、工夫です。

バスバーは、表板に対して、垂直方向の圧力のカウンターバランスを与えるのみで、
4本の弦の張力ギャップが生み出す、楽器をねじる力のカウンターバランには、
寄与しないことを調べてきました。
そして、そのねじる力に対するカウンターバランスのために、
楽器はワザと非対称なデザインになっているのではないか、
ということを考えてきました。

つまり、私の言いたいことは、
現代のスチール弦に変更されたことによって、もっと非対称なデザインにしなけば、
カウンターバランスが取れないはずだということです。
バスバーを長くしても、応力のカウンターバランスは生まれません。
それは、ネックを右にねじることや、
楽器本体の非対称なデザインで生み出すものです。
もっと非対称なデザインにしなければ、辻褄が合わないということです。
(もちろん、わたしの今までの議論が正しければの話です。)
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弦張力が今と昔で全然違うのに、昔の楽器のデザインを模写するということに、
どれほどの意味があるのでしょうか?ここまでの議論は、
あくまで、物理的、論理的に考えて導き出した結論で、
フォノグラムを仮定しなくてもすることのできる議論です。
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