⑬ 隠れている保存則 ~非対称性とカウンターバランス~

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(ヴァイオリンのf字孔、形や位置が音に影響を与えると言われていますが、
フォノグラムでバランスをとってやれば、どこにあっても構わないのです。
つまり、全体とのバランス関係で、部分の位置なども決まってくるわけで、
単独に取り出して考えても、ナンセンスなのです。)

楽器製作者は、良い楽器を作るために、いろいろなファクターを考えていきます。
楽器のアウトラインのデザイン、F字孔のデザイン、位置、バスバーの大きさ、
長さ、ニス、などたくさんのファクターをバラバラに考えています。
(ちなみに、私は楽器製作者という自覚はありません。)

しかし、これらすべてが、「音と形の関係」を調べれば、
同じことを別々にして考えているだけのことになるのです。
それがフォノグラムに現れます。
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例え話ですが、モノを高いところに持っていき、それを落下させますと、
高いところから落としたほうが、落下した時の衝撃(運動エネルギー)が大きくなります。
これは有名なエネルギー保存の法則ですが、

(全エネルギー)= (運動エネルギー)+ (位置エネルギー)

が常に成り立っています。
一見、全然違うエネルギーのように見えて、
実は、同じものが形を変えて現れているに過ぎない、ということです。
楽器製作においても同様です。
別々のファクターに考えているものは、
実は同じものの違った表れに過ぎないのです。
何かのファクターを取り出して、それだけを考えたところで、
意味はないということです。

この全体をひとつの秩序にまとめあげる視座を、
「職人の勘」などと言わずに、はっきりと理性の元に明らかにさせるのが、
フォノグラムによる楽器制作研究の目的の一つです。
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フォノグラムさえ整っていれば、楽器のデザインはどう歪めてしまっても構わない、
というわけですが、この自由性に物理的制限を与えるのが、
変更することのできない、4本の弦の張力ということです。

目で見ているだけでは、決して明らかにすることのできない保存則や、
対称性がフォノグラムによって明らかにされるのです。
「保存則と対称性」、それはフォノグラムを書き出して始めて見えてくる問題ですが、
これがうまい具合に、既存の物理量との関係の中で定式化されれば、
十分に数学表現が可能であることが、わかります。
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