ビリンバウの楽器としての可能性を探る

等音面楽器製作教室に参加していただいている生徒さんで、
カポエラの先生のKさんが、ビリンバウという楽器(カポエラで使う)を、
持ち込んでくれました。
フォノグラムを利用した、等音構造の実現は、どのような楽器でも可能です。
鳴らなくてどうしようもないビリンバウ(弓の部分)の音列を進めることで、
どこまでなるようになるかを実験してみました。

ちなみに、瓢箪部分は、すでに音列がかなり進んでおり、
フォノグラムの修正でも、さほどの変化は見込めないと判断しました。
弓とのフィッティングの時に、少し修正が必要かもしれませんが、
ビリンバウの性能を上げる大部分は弓にあります。
決定的に削り足りていません。

弓部分の音列を観てみますと、良くなるビリンバウは、音列の周期が細かく
鳴らないビリンバウは、音列の周期が大きいということでした。

これは、どの楽器を作るときも同じなのですが、
音列が細かいほうが倍音をたくさん含んでおり、
音列の周期が稠密なほど、倍音を含んでいることが、
研究からわかっています。

実は、ヴァイオリンの弓を作るときも、全く同じようにやっていきます。
ビリンバウの音を鳴らしながら削っている動画をUPしようと思ったのですが、
手違いで消してしまいました。
後日、UPしようと思います。

楽器の性能が、少しの調整で見違えるようになることに驚かれると思います。
結果として、一番ならないビリンバウが、一番なるようになり、
さらに、弓の倍音が増えたために、どの大きさの瓢箪にもそれなりに協和する、
対称性の高い弓を実現することができました。

等音構造になった弓は、テンションがかかった時に全体で
ストレスしてくれるので、良くしなるようになります。
しなった状態で、緊張が強くかかることで、弓が固くなり、
高振動成分が確保されます。

これが、単に固いだけで、部分振動として高周波成分の音がでても、
弓のようにしならずに、また低音部分が確保されず、
柔らかい高音にはなりません。
ヴァイオリンでも、高音は割と出やすいのですが、低音を確保し、
高音を柔らかくするのが難しいのです。
なぜなら、低音部分、フルボディーで反応しなければ、
決して出せないからです。

最終的には、音列を進めすぎたため、弓を強く張らなければ、
突き抜けるような高音が確保できなくなってしまいました。
音列の進める限界が、弓のしなり具合という、
物理的制約によって、決定されそうです。

ビリンバウの楽器としての可能性はこのようにして、
演奏機能としての物理的制約と、自然の法則である自然倍音列、
そして、音楽的な和声理論に基づいた共鳴の理論によって、
自然に引き出されていきます。

全ての楽器は、誰かの恣意的なアイデアに寄らず、
純粋に自然の原理から導かれます。
どのような第一人者、初めての人も、無心になって取り組んだときに、
結局は自然の原理にいきつくという無意識の反応を利用したにすぎません。
どのような分野でもそうに違いありません。
なぜなら、そういった原理は、常に単純だからです。