音の壁

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これがこれから創る楽器です。アウトライン(外枠)を 実際に音でそろえてあります(A)。
見た目にはほとんど同じですが、アウトラインの音をそろえていない状態のものが、
(B)です。違いがわかりますか?
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(A)、(B)二つを重ね合わせてみますと、場所によっては0.5㎜から1.0㎜ぐらい違います。
実際重ねて見ます。
R0015498_convert_20110726223444(大きいほうが(B)のほうです まだこれだけ削り足りません)
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見た目にはほとんどわからないくらいの厚さの違いですが、
音の情報を考慮しますと、これだけのわずかな違いがとてつもなく違ってきます。
ここで、(A)、(B)のフォノグラフがどれだけ違うのか見てみましょう。

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これが(A)のフォノグラムです。
外側から描かれている等音線は、実際には ぎっしりと中心に向かって敷き詰められています。
中央の正方形の格子も一面にわたっています。
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これが(B)のフォノグラフです。
見た目にはほとんど変わらないのに、音の図形はこんなにも違うのです。

面白いことに、アウトラインを音であわせていない(B)のほうが 、
指でこすると大きな音がしますので、こちらのほうが鳴る楽器になるように思えてしまいます。
もっと荒い状態のこぎりで、切った跡が残っているような状態をこすって音を比べて観ますと、
さらに大きく鳴って聞こえました。
これは音が漏れてしまっている状態ですので、鳴ったとしても、
特定の音域に限られるでしょうし、全体としてしまりのない音になるでしょう。

(A)はいわば、音の壁を音自身で築き上げることによって、
音の群れを中に閉じ込めている状態です。

(A)と(B)は、見た目にはほとんど違いがないのですが、
フォノグラフでは、このようにまったく別物ということがわかります。
見た目をコピーする製作法は、音響的にはまったくもって、
ナンセンスということになってしまうのです。0.5㎜以下の違いでも、
フォノグラムでの距離は何メートルにも感じてしまいます。
音響的な問題は、誤差何ミリがとてつもない影響として現れてしまうのです。
この誤差何ミリの世界で起きる現象が、フォノグラムにより捉えることができ、
それを制御することが可能なのです。
ほんの少しの修正で 全体の性質がガラッと変わってしまいます。
(典型的な非線形問題です)