心の履歴

他者を見るとき、何を真っ先に見るでしょうか?
顔やスタイルなどの容姿、着ている物や履いているものなどから読み取れる相手の経済力、
など、いろいろな視点があるとおもいます。

私は真っ先に、「背骨」に目がいってしまいます。
背骨の歪みや立ち姿を見ているだけで、その人のいろいろなことが推測できます。
人間は、なにか弱点(保護しなければならないところ)がありますと、
無意識にかばう姿勢をとろうとします。元気なくうつむく姿勢は、
丸まってなにかを保護しようとしている姿勢にも見えます。

姿勢には多くの情報が隠されています。
例えば、ピアニストのグレングールドは、胃に弱点があったと言われていました。
彼の演奏を見たことがある人は判ると思いますが、
とても美しいとはいえない姿勢で演奏しています。
ちょうど、胃のある背骨の位置で背中が曲がっているのです。
これは、胃を保護しようとする無意識の姿勢とも取れますし、
姿勢が悪いから胃が悪くなったとも取れます。
実際の所は両方同時に起こっているものです。
img_1021312_21333508_1s(異常に低い座椅子を好み、背骨が丸まっている。まるで獣のよう。)

人間の体というものは、調べれば調べるほど合理的にできていると感心させられます。
怪我や病気をすれば、そこを保護するように全身の最適バランスを再構築しようとします。
これは無意識がとる反応なので本人は気がつきません。
「体のどこかが動かない」、「体のどこかが痛む」というのは理由があってのことなのです。
これらの症状は、結果であり、原因ではありません。
どうすれば根本原因を見つけることができるでしょうか?

背骨の話に戻ります。
背骨はなぜ曲がるのか?
これは人体の骨格構造から考えますと、骨盤の前方への傾斜が原因で起こります。
大人になる成長過程で誰でも歪んでいきます。
体が大きくなれば、地上の重力の影響が大きくなるからです。
座禅などの姿勢は、この重力の背骨への影響を最小にしようとする単なる鍛錬というのが、
本当のところだと思います。

背骨の曲がり方で姿勢は違ってきますし、その姿勢に対応する内臓の弱点の位置も違います。
内臓に弱点がある場合、姿勢が原因であることもありますが、
心労が原因でその姿勢を取らせていることもあります。

言葉や思考は嘘をつくことができますが、
体はいつも素直に反応します。
誰だって同じ事をされれば、そうなるのです。
体の生理反応は同じだからです。
体の歪みは、心の履歴、人生の履歴です。

gu-rudos(グールドのフォノグラム。ピアノ演奏で恍惚を求めたようですが、
邂逅には至らなかったようです。)

フォノグラムは歪みの原因を探し当てることを可能にします。
歪みが、人生や、心の履歴ならば、フォノグラムを調整していくことは、
生まれた元へ帰る道程を表わしたものともいえます。
「本当の自分」は紛れもなく、「今の歪んだ自分」の中に隠れています。