①共鳴版を指圧してみる  ~非対称性とカウンターバランス~

楽器にかかる弦張力のうち、
まずは垂直方向にかかる力だけを考えてみます。
4本の弦張力の違いから起こる「応力(ねじれ)」は、
しばらく無視して考えを進めていきます。

実験:共鳴版の中心に「圧力」を少しずつ加えていくと、
フォノグラムはどのように変化するか?
20120711160726328s
赤い線のところに駒の足が置かれます。
この位置に合わせて、少しずつ圧力を加えていきます。
実際には15kgもの圧力がかかることになります。
まずは、何も圧力を加えない状態でのフォノグラムは次のようになります。
というよりも、こうなるように削ったのですが、、。
201207111610401a3s
フォノグラムは格子パターンになっています。
何度も説明してきましたが、フォノグラムの渦は音を殺します。
渦を消していくように削っていけば、自動的に共鳴版の隆起は決まりますし、
またそのフォノグラムは格子パターンになります。
格子パターンが崩れると、波線や渦巻き模様が出てきます。

次に、圧力を「1音(2度)」だけ加えてみます。

*私は、圧力による緊張度の変化を音の変化で捉えることができます。
整体の施術をする時も、この感覚を利用します。
適切なポイントに適切な圧力を加えて、相手の反応を誘発するわけですが
これを適切に感じる能力がなければ、何の反応も誘発させることができないでしょう。
逆に、適切に反応を誘発できれば、相手は勝手に自動調整していきます。
まるでドミノのように、順繰りに反応が起こっていきます。
そうでない整体は、ただの筋肉マッサージ、一時しのぎの筋トレに過ぎません。
筋力の変更による改善は、筋力がもつ間(6時間ぐらい)だけです。
音を聞き取る力と、フォノグラム能力は同じだといってもいいでしょう。*

以下 その図形変化です。
20120711162342ce2s(実際は、指圧して、音の変化を読み取ります。それと同じ圧力をクランプで再現します。)

真上から圧力を加えると、共鳴版は緊張します。
緊張することにより、フォノグラムの格子パターンは細密になります。
これはフォノグラムの音列が上がったことを示しています。
圧力が共鳴版に加わることにより、初めて音列が進みます。
201207111629138eas
また圧力が加わったことにより、若干「歪み」も出てきました。
これはいずれ補正しなければなりません。

さらに圧力を加えます。もう「1音」上げてみます。
20120711163046da4s
さらに、もう1音上げるように圧力を加えると、
なんと補正すべき渦が消えてしまい、
フォノグラムの格子パターンがさらに細密化しました。

さらに圧力を加えていこうと思うのですが、音が変化してくれません。
つまりこれ以上圧力を加えても、
内部の緊張状態を変更することができないということです。

*ちなみに、整体の施術の時も同様に、内部緊張の変更を促せない方向には
圧力を加えません。もし仮に、この方向に圧力を加えたとしたら痛がります。
楽器は痛がりませんが壊れてしまいます!  バキッと!*

以上のことから何が言えるでしょうか?
弦の張力がかかることによって、共鳴版は固く緊張し、
歪みを消す効果があるということです。
また、基本的には、共鳴版をなるたけ薄くしたいわけですから、
均等に薄くして、弦張力を全身で受け止めることのできる構造にしてやれば、
かかった緊張力で、固さを確保できるというわけです。
削り足りない厚い状態の共鳴版は、弦張力の影響も受けない代わりに、
部分振動による高音しかならないでしょう。
豊かな高音域が出るためには、しっかりとした低音域が確保されていまければなりません。
そのためには、弦張力を全身で散らすことのできる柔軟な構造が必要です。

今回の実験は、圧力が、共鳴版の中心にまっすぐかかるようにしました。
したがって、共鳴版が圧力を全身で受け止めることで緊張し、
フォノグラムの音列を進める働きをしました。
実際は、E線側に圧力が過剰にかかっていますし、
その圧力に対抗するためのカウンターバランスも、
G線側のバスバーとE線側の魂柱の違いがあります。
次回に、このことを踏まえてさらに実験を進めます。
フォノグラムを利用すれば、このような共鳴版の内部緊張の変化を、
モニターすることができるのです。

つづく